小児では、50%程度の人に頭痛があり、全体の3~15%に片頭痛、5~25%に緊張型頭痛があると言われています。片頭痛と緊張型頭痛が合併している混合型頭痛も少なくはありません。慢性頭痛の代表的なものについて説明します。
片頭痛は、疲労やストレス、寝不足で誘発されやすいと言われていますが、ストレスからの解放や寝すぎでも起こることがあります。
その他、気圧や温度の変化や女性の場合、月経前、月経中の増悪もよくみられます。
片頭痛を誘発しやすい食べ物として、チーズやチョコレートなどが言われていますが、個人差が大きく、とくに、誘因なく起こることの方が多いです。
片頭痛の原因については、いろいろな説がありますが、その中で、有力なものに三叉神経血管説があります。
脳の血管の周りには三叉神経という神経がからみつくように広がっています。何らかの刺激によって、この三叉神経が刺激されると、その末端から、神経伝達物質といわれる種々の物質が放出され、血管の拡張や炎症が引き起こされます。血管の拡強により激しい頭痛が引起されます。血管が拡張されると血管壁に存在する三叉神経がさらに刺激され、悪循環に陥ります。
非薬物療法としては、発作時は、暗い、静かな場所で横になり、安静に過ごすことです。痛みのある部分を冷やすのも痛みを和らげます(緊張型頭痛では温める方がよい)。
睡眠をとることもおすすめです。
予防的には、ストレスや過労、睡眠不足をさけ、適度の運動を行い、ビタミンB2やマグネシウムを摂取することがいいと言われています。
薬物療法には、発作時の頭痛頓挫治療と頭痛発作の予防治療があります。頭痛時の鎮痛薬として、小児では、アセトアミノフェンとイブプロフェンが用いられます。片頭痛の特効薬としては、トリプタン製剤があります。
トリプタン製剤は、セロトニン受容体に作用して、片頭痛発作時に拡張する血管を収縮させます。
また、三叉神経に末端からの各種伝達物質の放出を抑え、炎症反応を抑制します。したがって、早めに飲んだ方がよいのですが、血管が収縮している前兆の時に作用すると逆効果になることもあります。
現在、我が国で、小児に使用できるトリプタン製剤は、スマトリプタンの点鼻薬とリザトリプタンです。ただし、大人に比べて、こどもでは効果がうすい印象があります。吐き気止めを併用することで効果が上がることもあると言われています。
予防的治療には、血管を拡張させた状態にして、血管運動を抑えるカルシウム拮抗薬の塩酸ロメリジンと抗てんかん薬であるバルプロ酸とがあります。
月に2~3回以上の発作がある場合や生活に支障が大きい場合は、予防薬の使用を考慮してもよいと考えます。
緊張型頭痛の治療としては、姿勢の矯正、ゲームやパソコン使用の制限、ストレッチ、頭痛体操、マッサージなどがあります。
痛みを感じる部位を蒸しタオルなどで温めることや入浴も効果が期待できます。
薬物療法としては、鎮痛薬(アセトアミノフェン、イブプロフェン)や筋弛緩薬(エペリゾン、チザニジン)が用いられます。
痛みが強くなりすぎる前に使用することが重要ですが、下記の薬物乱用性頭痛に注意する必要があります。
慢性連日性頭痛は毎日のように頭痛が起こり、日常生活に大きな支障を引き起こしている状態です。
慢性片頭痛、慢性緊張型頭痛などが含まれますが、実際は、片頭痛あるいは緊張型頭痛患者が薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)におちいっているケースが多くみられます。
(薬物乱用頭痛)
起立性調節障害
による頭痛
起立性調節障害は、思春期に好発する自律神経機能不全です。
朝が起きられない、立ちくらみ、めまい、全身倦怠感などの症状とともに高率に頭痛を合併します。
起立性調節障害の詳細については、起立性調節障害のページで説明しています。
起立性調節障害による頭痛は、起床時から午前中にひどく、午後から楽になることが多いです。
痛みの性質としては、頭が重い感じの痛みもあれば、片頭痛のようにズキズキする痛みもあります。
また、起立性調節障害のこどもは、片頭痛や緊張性頭痛を合併していることもあり、判断が難しいことも多いです。起立性調節障害による頭痛には鎮痛薬があまり効きません。起立性調節障害の治療をしていくことが重要です。
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
午前診 9:00~12:00 |
||||||
午後診 13:30~ 18:00 |
休診日:水曜、日曜、祝日 |
〒655-0004神戸市垂水区学が丘7-1-33東多聞台クリニックビレッジ
Copyright (C) 垂水区 小児神経科・リハビリテーション科・児童精神科 たかの発達リハビリクリニック. All Rights Reserved.