

たかの発達リハビリクリニックTOP > 院長通信 > No.32インフルエンザ大流行 検査で陽性?陰性? ―感度・特異度・的中率とはー・今月の1曲

No.32
インフルエンザ大流行
検査で陽性?陰性? ―感度・特異度・的中率とはー今シーズン(2025-2026年)のインフルエンザは早い時期からの大流行となりました。一番流行っていたのは、よくあるA香港型ですが、サブグレードKと呼ばれる、あらたな変異株だったそうです。
そのためかどうかはわかりませんが、今シーズンのインフルエンザは検査で出にくいのではないかというような話が医者の間でもあったようです。
いかにもインフルエンザっぽいけど検査は陰性だったという例が多かったのかもしれません。
その真偽のほどは私には分かりませんが、今回は、検査における「陽性」と「陰性」とそれを巡る誤解について考えてみたいと思います。
検査で「陽性」ならば、絶対に陽性か。必ずしもそうではありません、検査にも誤りや限界があるので、「陽性」と出ても、本当は陰性ということがあります。これを、「偽陽性(検査上のウソの陽性)」と言います。同様に「陰性」と出ても、実際はその病気であったという「偽陰性」もあります。
当然ながら、「偽陽性」や「偽陰性」の少ない検査がいい検査ですが、100%確実というのは実際には難しいことです。医学に絶対はありません。
関係ないですが、「疑陽性」ですと、陽性が疑わしいが断定できないということなので、字によって意味が違ってきます。
検査の偽陽性、偽陰性に関して、「感度」と「特異度」という言葉があり、医学的にはこの言葉をよく用います。「感度」は、その病気である人を、正しく「陽性」と判定する確率です。
例えば、インフルエンザの人が100人いて、検査をして、そのうち、98人をインフルエンザと判定できたとすれば、その検査の「感度」は98%になります。「特異度」というのは、その疾患でない人を正しく「陰性」と判定する確率です。
インフルエンザにかかっていない人が100人いて、そのうちの98人を「陰性」と判断すれば、その検査の「特異度」は98%となります。
「感度」というのは、その病気を敏感に見つけるという意味で、感度であり、「特異度」はその病気ではないことを特異性をもってはっきりさせる度合いということで、特異度と呼ばれているわけです。
「感度が高い」ということは、陽性のものを間違って陰性と判定することが少ないということです。つまり、偽陽性が少なく、その病気の見逃しが少ないということになります。
「特異度が高い」というのは、陰性のものを間違って陽性と判定する可能性が低いということ、つまり偽陰性が少なく、その病気でないことを強く示すことになります。
これを表と数値で表すと次のようになります。
| 病気あり | 病気なし | |
| 検査陽性 | a人 | b人 |
| 検査陰性 | c人 | d人 |
| 計 | a+c人 | b+d人 |
感度=a/a+c
特異度=d/b+d
ここで、注意しないといけないことがあります。「感度」は、検査陽性のときに、その人が病気である確率を示しているのではないということです。なぜなら、「感度」は病気の人100人がいたとき(病気の人を対象としている)、何人が病気かをみているからです。検査陽性の人を対象とはしていないのです。母体が、病気の人なのか、検査陽性の人なのかの違いです。
検査陽性の人を対象とした、つまり、「検査陽性の人の何%がその病気であるか」という確率は「陽性的中率」と呼ばれています。同様に、「特異度」は、「検査陰性の人が、病気ではないという確率」ではなく、「検査陰性の人が病気でない確率」は「陰性的中率」です。
よくある誤解として、インフルエンザの検査を行って,陰性だった。この検査の特異度 は98%なので,私は98%の確率でインフルエンザではないと言える、というものがあります。先に述べた通り、これは「陰性的中率」の話をしているので、「特異度」ではありません。

例えば、ここに100人に1人の割合で発症する病気があるとします。今、10000人の人をスクリーニング検査した場合、確率的には100人の病気の人がいることになります。感度90%、特異度95%の検査を行うと、先ほどの表の計算をすると、病気の人が100人で、感度が90%の検査ですので、検査で陽性になる実際の病気の人は100*0.9の90人になります。
実際は病気だが検査陰性の人が、100*0.1=10人となります。同様に、病気ではない人が900人いるので、特異度が95%だと、病気がない人で検査も陰性の人が900*0.95で855人、病気ではないが検査陽性となる人が135人になります。
まとめると以下の表です。
| 病気である | 病気ではない | 計 | |
| 検査陽性 | 100*0.9=90 | 900*0.05=45b人 | 135 |
| 検査陰性 | 100*0.1=10 | 900*0.95=855 | 865 |
| 計 | 100 | 900 | 1000 |
実際は、誰が病気かわからない状況で、1000人の人の検査をしたという立場でみているので、我々がみているのは、135人の検査陽性の人と865人の検査陰性の人という結果です。
では、その検査陽性の人135人をみると、実際に病気の人は90人です。
つまり、検査陽性の人うち、66.7%しか実際の病気の人はいないということになります。
随分低いというか、30%以上も偽陽性の人がいるのかという印象をもたれると思いますが、これが、「陽性的中率」で、検査の「感度」とは異なります。「陰性的中率」と「特異度」も同じような関係にあります。
つまり、どういう頻度の疾患をどのような集団に行うかによって、結果がかなり変わってくるということになります。どういう人達にどういう検査をするのが適切なのか、検査結果をその通り評価できるのか、検査の意味があるのというようなことを常に考えないといけません。
例えば、去年から今年のようなインフルエンザの超流行期,こども2人がインフルエンザの確定診断を受け、自宅療養をしている家庭で、母親が同様の発熱、咽頭痛が起こした、という状況を考えます。
この場合、母親もインフルエンザの可能性がすごく高いと思います。その正確な数字を出すことはできませんが、90%以上の確率でインフルエンザだとしていいかもしれません。
これを「事前確率」と言いますが、今、インフルエンザである事前確率を仮に90%とします。そうすると、同じ状況の人が100人いれば90人がインフルエンザということですから、
| インフルエンザである | インフルエンザでない | |
| 検査陽性 | ||
| 検査陰性 | ||
| 計 | 90 | 10 |
このようになります。インフルエンザ迅速検査の感度は90%以上、特異度は98%と言われていますので、それをあてはめると。インフルエンザである90人のうちの81人(90×0.9)が検査陽性となります。
インフルエンザでなく、検査が陰性の人が、0.2人(10×0.02)となります。
| インフルエンザ | インフルエンザでない | 計 | |
| 検査「陽性」 | 81 | 0.2 | 81.2 |
| 検査「陰性」 | 9 | 9.8 | 18.8 |
| 計 | 90 | 10 | 100 |
そうすると、検査陰性となった人の、9/18.8×100=45.6%がインフルエンザということになります。
「陰性的中率」はかなり低いものになっています。したがって、検査で陰性であっても、インフルエンザではないとは言えません。仕事に出たり、外を歩き回ったりするのは控えるべきなのです。
検査で、陰性であっても、本当に陰性とは言い切れなく、後の対応に変化がなかったとすると、この検査をすることに意味はなかったということになります。 これは、「事前確率」が極めて高いために起こったことです。「事前確率」が極めて低い場合には逆に「陽性的中率」が低くなって、偽陽性が増えてしまいます。
「事前確率」はあいまいなものであり、今回用いた90%という値がどれだけ正確かは確かに疑問です。
また、軽微な疾患か重大な疾患かなど状況もさまざまで、上記のようなことが一概に言えるわけではありません。しかしながら、何でもかんでも検査をすればいいというわけではありませんし、検査の陽性や陰性も状況により大きく意味が変わってくるのです。
医者たるもの、患者さんのお話を詳しくうかがい、注意深く診察をして、「事前確率」をあげて、どのような検査がふさわしいかを考え、検査の「陽性的中率」をあげる努力をしなければなりませんし、そうしているはずです。今回は、医師はこのように考え、行動しているのだというお話をさせていただきました。
KANA-BOON「ランアンドラン」
KANA-BOON 『ランアンドラン』Music Video
めっちゃいい歌です。
「位置について用意」の後に聞こえた「また会おう」
僕たちは走ります。ラン&ガンです。
著者 たかの発達リハビリクリニック
院長 高野 真
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