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No.25人間にとって最も危険な生物は何?・免疫反応、アナフィラキシー・野良犬を知っていますか?・今月の1曲-垂水区|たかの発達リハビリクリニック

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No.25

2025.6
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人間にとって最も危険な
生物は何?

地球上で、最も人間の命を奪っている生き物は何かわかりますか?
サメでしょうか?ワニでしょうか?ライオンでしょうか?
私はこれは絶対、人間だと思いました。これほどむやみに殺しあう生き物はないでしょう。
その答えは、BBC Science Focusによると、それは、「蚊」だそうです。
10位までの順位とそれによる年間の死亡者数は下記のとおりです。

1位 72万5千人
2位 ヒト 40万人
3位 ヘビ 13万8千人
4位 5万9千人
5位 サシガメ(シャーガス病) 1万人
6位 サソリ 3300人
7位 ワニ 1000人
8位 600人
9位 カバ 500人
10位 ライオン 200人

 

出典:Top 10 most dangerous animals in the world, ranked | BBC Science Focus

 

ということで、蚊によって、年間70万人以上の人が命を落としているそうです。
蚊は、マラリアやデング熱、ジカ熱など、種々の感染症を人に媒介します。その中でも最も大きな問題はマラリアです。
マラリアは、マラリア原虫をもったハマダラカに刺されることで感染します。
世界中で年間2億人を超える人がマラリアに感染しているそうです。
現在の所、我が国ではマラリアもデング熱も発生していません。わが国では、公衆衛生が非常に良好な状態に保たれていますが、気候温暖化がすすむと、このようないわゆる熱帯病が流行ることもあるかもしません。
それでは、蚊も安全だし、ワニもライオンもいない我が国で一番危ない生き物はなんでしょうか。クマでしょうか。
確かにクマによる被害は増えてきていますが、2023年度クマに襲われてお亡くなりになった方は6人でした。
わが国で最も危険な生物は、実は、ハチです。2023年ハチ刺傷による死亡者は21人でした。そのほとんどがスズメバチによるもので、7~10月の4か月に集中しています。これから、その最も危険な4か月が始まります。
山などに入られる場合はもちろん、平地でも十分に注意が必要です。
ハチに刺されてなぜ死ぬか、それはハチ毒に対する激烈なアレルギー反応によりものです。
このような重症の急性のアレルギーのことをアナフィラキシーと呼んでいます。
アナフィラキシーにより、呼吸停止、心停止が起こります。

免疫反応、アナフィラキシー

人間は体の中に異物(本来、自分がもっているものとは違うたんぱく質)が入ってくると、それを自分ではない(非自己)と認識して排除する機能がそなわっています。例えば、外から入ってくる異物には、ウイルスや細菌があるのですが、これらの構成成分である蛋白質を非自己と認識し、排除しようとします。この反応を免疫反応とよびます。
免疫反応には、自然免疫と獲得免疫があります。
自然免疫は、とにかく異物に対する最初の反応で、白血球の種類である好中球やマクロファージがウイルスであろうが細菌であろうが、侵入してきたものの種類に関わらず、攻撃を開始します。
獲得免疫は、ウイルスや菌の種類に応じて攻撃を起こすもので、これには白血球の中のT細胞やB細胞と呼ばれるリンパ球が関与します。獲得免疫には、T細胞などの細胞が侵入者を攻撃する細胞性免疫とB細胞から作られる抗体が作用する液性免疫があります。
これらの反応は、入ってくるウイルスや細菌の種類に特異的な反応ですので、より確実に、より強く働きますし、一部にはメモリー細胞とよばれる長期間この反応を記憶する細胞があるので、二度目に同じ侵入者があったときには即座により強烈に反応します。したがって、一部の病気では、一度かかると二度と感染することはなく、こういう状態を(終生)免疫を獲得すると言います。一般的な用語としても、〇〇に免疫がある、などという言い方があるのはご存知だと思います。

 

この免疫反応は、体の外から入ってきて人間の体をむしばむ侵入者を撃退するのにとても優れたシステムですが、ときに困ったことを引き起こすことがあります。
本来は、外から入ってくる非自己に対しての反応なのですが、まれに自分の体の構成成分に対して免疫反応を起こしてしまうことがあります。つまり、自分の体を攻撃するような抗体やリンパ球できてしまうのです。
このような病気を自己免疫疾患をと呼びます。
例えば、関節リウマチでは自分の関節の構成成分に対する免疫反応が起き、関節が破壊されます。
また、侵入物に対して激烈な免疫反応が起こると、その標的に対してだけでなく、体全体に強すぎる炎症反応が起こり、自分の臓器が障害されたり、ときに命も危なくなったりします。このような、強すぎる免疫反応、強すぎるアレルギー反応がアナフィラキシーとかアナフィラキシーショックと呼ばれるものです。

 

アナフィラキシーのような強い反応がなぜ起こってしまうのかというと、先に述べたように、一度体に入ってきたものに対して、その免疫反応が記憶されています。そのため、2度目に同じものが入ってきた場合、即座に反応できる状態ができあがっており、そのため、ときにその反応が過剰に強く起こってしまいます。このためアナフィラキシーが引き起こされます。
ハチに一度刺された人はハチ毒に対する準備状態ができあがっており、そこに二度目にさされると免疫反応が強く起こりアナフィラキシーとなります。その反応が激烈であれば、呼吸停止、心停止となり命を落としてしまいます。
もちろん、ハチに2度刺された人すべてがアナフィラキシーを起こすわけではありません。ごくまれにそういうことが起こるわけで、過度に心配することはありません。
アナフィラキシーは全身に起こるアレルギー反応で、症状として、全身のじんま疹やかゆみ、腹痛、下痢、喘鳴(呼吸のゼーゼー)、息苦しさ、めまい、ふらつきなどがあります。これらが出現したらすぐに医療機関を受診すべきです。
アナフィラキシーそのものは、アシナガバチによるものが一番多いのですが、命を落とすほど激烈なものは、スズメバチです。
また、多くのハチに刺されると起こりやすいので、これからの季節、スズメバチには十分注意してください。

野良犬を知っていますか?

あと、このリストをみると、犬が年間5万9千人の人間を殺しているのか、と驚きました。
この多くは狂犬病によるものです。我が国では1956年を最後に狂犬病の発症はありませんが、まだ、世界全体をみるとかなりの狂犬病の犬がいることがわかります。
狂犬病発生の報告のあるような海外へ行かれることがある人は必ずワクチンを打っていってください。
狂犬病はもちろんですが、現在、我が国では、犬がその辺りをウロウロしているのを見ることもほとんどなくなりました。
今のこどもたちは野良犬という言葉も知らないのではないでしょうか。
私がこどものころは、野良犬がいて無茶苦茶怖かったです。
彼ら(彼女ら?)は足が速いので、自転車に乗っていても追いついてきて噛まれたりすることがありました。しかも、彼らは徒党を組んでいることが多く、そのあたりにそういうのがウロチョロしていました。みかけたら、絶対目をあわさないようにそっと通っていました。
後に、神戸に出ていったときに、〇工や××の生徒に、「なにメンチきっとんねん」とか言われないように通りすぎる役にはたったかもしれません。

 

環境庁のホームページをみると、昭和40年代後半にはなんと、1年間で100万匹以上の犬が殺処分されています(単位が千頭なのに注意してください)。それだけ捕まえられていながならあれだけいたのかというのは恐ろしいですが、それが現在では、年間2000匹程度になっているようです。
それでも、2000かと思いますが、一方、猫の方も減ってはいますが、犬ほどではないため、現在は犬と猫が逆転しています。
野良犬はみなくなったが、野良猫がいっぱいいるという状況通りだと思います。
これは、犬は狂犬病の予防のために野良犬は処分するよう法律で定められていますが、猫にはそれがないためだと思います。

 

でも、トータルでみたら、どうみても、人間にとって、一番恐ろしい生物は人間ですよね。
なぜ意味もなくそんなに殺しあうのか、なぜ、自分たちが唯一生きていける場所である地球を破壊し続けるのか、なぜ、自分たちのこどもや孫やその先のこどもたちが生きていくことを考えようとしないのか。
悔い改めよ、Human being

 

-今月の一曲-


人は一体、いくつ耳を持てば、泣き叫んでいる人々の声が聞こえるのだろうか
人は一体、何人の人が死んだら、多くの人が死に過ぎたと気づくことができるのだろうか
人は何度顔を背け、いつまで見ないふりをし続けられるのだろうか
その答えは風の中をさまよっている。


Blowin' In The Wind

 

著者 たかの発達リハビリクリニック 
院長 高野 真

小児神経科・リハビリテーション科・児童精神科
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