No.18
今月も医学的に大変ためになるお話(どこが?)をしようと思っていたのですが、兵庫県知事選挙にまつわるいろいろなできごとがすごかったので、これについて思うところを少しだけ書いてみたい。そして、海の向こうアメリカ合衆国では、トランプさんも再選されたようなので、これについても少しだけ。
斎藤知事をめぐるできごとは、何がどうなっているのか、何が真実なのか、いまだによくわからないというかさらに混沌としているという感じですが、こっちとなったら、こっち、そうじゃないとなったら、みんなそうじゃない、とみんなが一斉に流れていく展開にちょっと恐怖を感じました。
9月19日斎藤知事に対する不信任決議は全会一致で可決されました。86人いる兵庫県会議員が誰一人反対も棄権もせず、やめろと言いました。
斎藤知事は9月30日付けで失職、当日JR須磨駅前で街頭演説を開始、たった1人で、おはようございます、と頭を下げている映像が流されていました。ところが、選挙最終日には、何千人いるのではないかと思える大群衆が彼の周りに押し寄せ、大声援を送っていました。
その間、1か月半です。
また、残務整理をして、9月27日に実際に兵庫県庁を退去するとき、それを見送る職員は1人もいませんでした。もちろん、花束を受け取るなどということもありませんでした。
ところが、彼が再当選し、11月19日初登庁の日、1000人の県職員と支援者200人が出迎え、花束をきれいな女性から受け取っていました。ここで、「きれいな女性」とか言うのはまた問題なのですが、別に、男性の副知事でよかったのではないかと思うので、そんなふうに思えてしまします。
また、選挙の3日前に、兵庫県の22の市長が集まり、稲村氏支持を表明しました。現役市長会有志の会が選挙直前に、一方の候補を支持するという異例のできごとだと思います。しかも、斎藤さんの机を叩いたパワハラが問題であり、県知事にふさわしくないと言っているその集まりにおいて、机を叩きまくって怒りをぶつける市長がいたことは(もちろんこれは特定の部下に行った行為ではなく、パワハラではありませんが)、コントかと思う展開でした。ひょっとして、稲村つぶしの斎藤派の送り込んだ刺客、とか思いました。
そして、選挙当日、当選確実が出た斎藤さんの選挙事務所にすぐに稲村さんを支持した2人の市長がしっかり来ていたようですし、不信任案を出して申し訳なかったと謝罪した県会議員もいたとのことです(これは選挙後半からいた?とのことです)。
斎藤知事は、井戸知事時代の地域整備事業などによる負債の問題に手をつけたり、県庁幹部の天下りポストである県の外郭団体の定年を厳格化したり、1000億円での県庁建て替え案にストップをかけたりと知事として、評価されるところがあったと思います。
ただ、今回ことの発端となったことには問題があったようにも思います。私が目にしたニュースによると、元の県民局長がメディアや県議に斎藤知事に関する告発文を送付したことがことの始まりのようです。その文書が全くの捏造で誹謗中傷にあたるようなものだったのかもしれませんが、知事とその側近で、内部告発者探しを行ったとすれば、それは問題なのではないでしょうか。
公的な権力をもつものとして、内供告発者探しをすることは、内部からの意見がまったく言えないような環境をつくることであり、机を叩いたり、暴言を吐いたりすることより、よっぽどパワハラです。
百条委員会でのやり取りの録音テープ、斎藤知事に公職選挙法違反の疑いがあるなど、何が真実なのかわからないニュースが、まだまだ、流れてきています。
既成のマスコミのニュースは、いつもどこかわからない向こう側から与えられたものであり、今までそれを無条件に受け入れていたが、それはいつもどこかわからない向こう側からきたものであった。ところが、最近、私たちが手にしたSNSは、自分たちが獲得したものであり、そのニュースは自らで作り、自らでつかんだものである。これこそが信じられるものである、ネットやSNSは隠された真実を伝える正義であるというような空気が一気に広がった出来事であった。
しかし、ネットやSNSの方が信じられるという根拠は何もなく、どちらにしろ、それは錯覚でしたかないものだと、私は思いますが、何が真実なのかを見極めることは、大切であるが、とてもむずかしいということを改めて知らされました。
ただ、一旦、こっちに傾いたら、こっち、いや、あっちが正しのだとなったら、みんなあっち、反対側にいる奴は思いっきり叩けというこの風潮は本当に怖いものがあります。そして、こういう操作が簡単にできてしまう世の中になっていることには十分注意が必要だと思います。
さて、海の向こうでも、トランプさんが再選されました。
そのトランプさんですが、不倫相手の口止め料を隠すために業務記録を改竄したとされる事件で、今年の5月に大統領経験者として初めての有罪判決を受けています。もちろん、それは承知のうえで、選挙で公正に選ばれましたので、そこに何も問題はありません。
ただ、これまでも延期されてきた量刑の言い渡しが、2029年の大統領任期終了まで延期されることになったそうです。
トランプさんは、これ以外にも、2020年大統領選の結果を覆そうとした事件、大統領退任後に機密文書を持ち出した事件、で起訴されています。ところが、これらも彼が大統領に就任すれば取り下げられるとのことです。 一体これはどういうことでしょうか、アメリカ民主主義はどこにいったのでしょうか。世の中信じられないことが多いです。
最後に、今回のこととは関係ないですが、前回、トランプさんに大統領選挙で敗れた、ヒラリー・クリントンが行った敗北宣言ともいえる演説があまりにカッコいいので載せておきます。(適当に中略しています)
「私たちが活動してきたのは、個人のためでもなく、たった1回の大統領選挙のためでもありません。私たちが愛するこの国のためであり、希望に満ちた、分け隔てのない、寛容性を持つアメリカのためなのです。
私たちは人権や尊厳は平等であるという原理原則、信仰と表現の自由といった、法の原則を尊重しています。こういった価値観を尊重、遵守し、守っていかなくてはなりません。
アメリカン・ドリームは、あらゆる人種、あらゆる宗教を信じる人、男性、女性、移民、性同一性障害などのLGBT、障害のある人、すべての人が持ってもよい夢なのです。
私たちは最も高くて最も固いガラスの天井をまだ打ち破っていませんが、そう遠くない将来に誰かが実現してくれると期待しています。
世界の真ん中で殺人者がパレードしている
何が起こってるのか誰にもわからない
まったく今の世界を語ってくれています。
夜が落ちてくる前に 僕たちはジャンプできるのでしょうか。
著者 たかの発達リハビリクリニック
院長 高野 真
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