No.23
前々回に古文というか歴史的仮名遣いについて書いたのですが、高校の国語の現代文以外には古文以外に漢文というのがあります。以前に、漢文を高校の授業で必修とする意味があるのか、必要ないのではないかというような議論がありましたが、最近は言わなくなったなと思って、ちょっと調べてみたら、古文・漢文は必要なしという大学も多いみたいですね。共通テストでも、古文・漢文を受ける必要はないようです。
私は共通一次世代ですので、当然、必須でした。理科も社会もそれぞれ2科目ありました。
このブログで漢文について語る必要はありませんし、まったく専門家でもなんでもないのですが、今回は、漢字と漢文です。といっても大した知識もないので、高島俊男先生の本を読んでもらうのが一番いいと思います。
漢字以外のことでも大変おもしろいので、是非一度読んでみてください。
まずは、「漢字」ですが、要するにこれは中国語の文字です。世界四大文明当時に使用されていた古代文字の中で今でも使われている唯一の文字だそうです。
我が国には古来、文字がなく、中国から輸入された漢字を初めての文字で、以来それを使用することになりました。紀元5世紀頃のことと言われていますが、もう少し古いかもしれません。 漢字の読み方には音読みと訓読みがありますが、漢字は元々中国語であり、本来その読み方は、中国語の発音です。
その中国語の発音(に近いもの)が音読みです。一方、訓読みは日本で作られた読み方です。
音読みは、元々の漢字の読み方、つまり中国語の発音です。ただし、日本風の発音に変化しているので、中国語の発音とは違いますが、元来は中国語の読み方です。
音読みには、呉音、漢音、唐音があります。漢字が最も大量に伝わってきたのは、奈良時代から平安時代の遣唐使によるものですが、この当時の読み方が漢音で最も主流の読み方です。
呉音は、5-6世紀頃に伝わった仏典などに基づく漢音以前の伝統的な読み方です。鎌倉時代から江戸時代にかけて入ってきた、最も新しい読み方で稀なものとして、唐音(中国の王朝は唐ではなく、宋の時代なので、唐宋音とも呼ばれています)があります。
例えば、「明」の音読みには、「ミョウ」と「メイ」と「ミン」とがありますが、「メイ」が漢音で、「ミョウ」が呉音で、「ミン」が唐音です。一般的によく使われるポピュラーな読み方が漢音で、少し変わった読み方、とくに仏教用語的な読み方が多いです、が呉音です。
唐音はかなり限られた特殊な読み方です。どうやったらわかるのですかということについては、漢和辞典をみればちゃんと書いてあります。小中高校と漢和辞典ってとくに役に立たない何のための辞典、とずっと思っていましたが、実は、漢字、熟語にまつわることついてはいろいろなことが書いてあります。
訓読みは、元々日本にあった言葉(和語)を漢字で表すために、我が国で作られた読み方です。
和語の意味に近い意味をもつ中国の言葉(漢字)に日本語の発音をあてているので、訓読みをすると意味がわかります。例えば、「海」の訓読みは「うみ」ですが、元々「うみ」という言葉があって、「海」という漢字をあてていますので、「うみ」と言われれば、あの「うみ」だな、とわかりますし、中国語でも「海」は「うみ」を表しています。しかしながら、中国語の読みである音読みで「カイ」と言われてもどの「カイ」(貝、会、階・・・)なのかわからないということになります。ただし、中国語の意味とはかなり変わっている漢字もあり、「娘」は中国語では、母を指すそうですし、「走」は歩くという意味だそうです。
漢字は本来表音文字で、中国語では、1文字1音です。
したがって、本来、音読みは1文字のはずですが、日本流の発音となっているため、2文字のものも多くなっています。ただし、2文字目は必ず「い」「う」「き」「く」「ち」「つ」「ん」のいずれです。また、3文字になっているものもありますが、3文字になる場合の2文字目は必ず小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」で、3文字を超える読み方はありません。
例えば、「龍」を「りゅう」と読むのは音読みですが、2文字目は「ゅ」です。
「家」を「いえ」と読むのは、「え」で終わっているので、訓読みです。
次に「漢文」ですが、漢字ばかりがならんだ文章に記号やカタカナがふってあり、それを読んでいくというのを漢文の授業で習ったと思います。元々これは、中国語の文章であり、当然のことながら中国では「漢文」とは言いません。これは、日本の呼び名です。
中国語の文章を日本語で読めるように一定のルールを設け、無理やり(?)日本語で読んでいるもので、その読み方を漢文訓読法と言います。
中国語の文章と言っても、中国の古文であり、現代中国語とはかなり異なっているようで、今の中国人がさらさらっと普通に読めるものではないようです。日本人にとって、「源氏物語」の原文を読むようなものでしょうか。
この中国語の古典文章の書き言葉を文言文といいます。
これとは別に唐の時代に生まれ、口語体の書き言葉として作られたものに白話文があります。中国における文章は、20世紀初めまでは、文言文が95%、白話文が5%だったそうですが、現在ではほぼ白話文となっているそうです。
上記の通り、「漢文」とは、本来は中国語の文章を原文はそのままの形で残しておきながら、日本語として読む読み方を考えた文章です。中国語と日本語では語順も違いますし、助詞もないので、漢文訓読法というルールが設けられています。また、日本語としての読み方は、当然ながら当時の読み方、現代からみると古典の読み方ですから、中国語の古典である文言文を、そのままの形で、日本語文語文として読めるように解釈した文章ということになります。
中国古典文学をそのままの形で日本古典文学に読み下すという、何かよくわからない感はあり、これを高校の必修科目として、大学受験の必須科目とする必要はあるのか、という言い分はわからなくもない気はします。
現在、古文・漢文を問わない大学も増えているようですし、漢文も、もとの中国古典を離れて、日本独特の文学として発展したという歴史もあります。
「かな」については、前回に述べましたが、漢字から日本で作られたものです。飛鳥奈良時代には、漢字の音を使って日本語を表記するという方法がとられました。これが万葉仮名です。
これには同じ音でも種々の漢字が用いられており、例えば、「あ」は「阿」もあれば「安」も使われていました。
日本語の音に漢字をあてるのは、中国に先例があり、「卑弥呼(ひみこ)」などがみられています。
「枕の草紙」の冒頭の「春はあけぼの」は「者流八安計保乃」と書かれていたそうです(正確にいうと、原本はないので、一番古い写本ですが)。
平安時代以降には、万葉仮名の草書体やその一部から、ひらがなとカタカナがつくられました。「安」の草書体から「あ」が「阿」の辺から「ア」ができたそうです。 これらの歴史を踏まえ、時を経て、「夜露死苦」などと使われるようになるとは感慨深いものがあります。知らんけど。
桜は散っていくけど、僕たちはどうなるのだろうか。
僕たちはどこかに行けるのだろうか。
どこにでも行ける思うけど、 どこにも行けないとも思う。
ジンジャエールってこんな味だったんだろうか。
著者 たかの発達リハビリクリニック
院長 高野 真
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