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「人にやさしく」「かちかち山」・今月の1曲-垂水区|たかの発達リハビリクリニック

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たかの発達リハビリクリニックTOP > 院長通信 >  No.15 「人にやさしく」「かちかち山」・今月の1曲
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No.15

2024.8
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「人にやさしく」「かちかち山」

先日ネットニュースで、Y tuber・月ノ美兎さんの「『カチカチ山』とかいう和製サウスパーク、いつからヌルくなったのか」という動画が話題になっているという話を見ました。
Y tuberが何か、サウスパークが何かはよく知らないのですが、これについては、前から私もそう思っていました。「かちかち山」グロすぎる、あまりに非倫理的。タヌキもたいがいやけど、ウサギもかなり悪くね?あまりにひどいので最近はちょっといい話になっているよなと思っていました。

 

「かちかち山」がどういう話でどう変わってきたかは、月ノ美兎さんの動画が詳しいですが、私が聞いた「カチカチ山は」以下のような感じです。

畑で悪さばかりするタヌキをおじいさんが捕まえました。狸汁にしようと縛っていましたが、タヌキは「もう悪さはしません。何でも言うことききます」とおばさんをだまして、縄を解いてもらいます。すると、タヌキはおばあさんを杵で殴り殺し、おばさんの肉を鍋に入れて煮込み、婆汁(ばぁじる)を作ります。そしてタヌキはおばあさんに化けると、帰ってきたおじいさんに狸汁だよと言って、婆汁を食べさせます。おじいさんが食べ終わると、正体をあらわし、「婆汁食べた、お前の食べたのは婆さんの肉だよ」と言って、山に逃げて行ってしまいます。失意のおじいさんに、仲のよかったウサギが、かたき討ちをすることを提案し、約束します。

ウサギとタヌキは芝刈りに行き、ウサギはタヌキの芝に火打ち石で火をつけます。タヌキは、 「カチカチなるのは何の音?」と聞きますが、「カチカチ山のカチカチ鳥だよ」と言い、「ぼーぼーいうのは何の音?」とも聞きますが、「ぼーぼー山のぼーぼー鳥だよ」と答え、タヌキは背中に大やけどを起こします。さらに、ウサギはやけどに良く効く薬だと言って、その背中にトウガラシをすりこんで、タヌキはさらに痛みに苦しむことになります。
次に、ウサギはタヌキを湖に魚釣りに誘い出し、自分は木の船で、タヌキを泥の船に乗せ、「木の船すいすい、泥船ぷくぷく」とか言いながら、泥船を沈めて、タヌキを征伐するという話です。
こどもの頃に聞いた話は、おばあさんは殴り殺されただけで、さすがに婆汁のくだりはなかったのですが、後にその話も知りました。

 

なかなかこどもに聞かせるような話ではないですよね。
それで、最近は、婆汁はもちろん、おばあさんは死なないことになっていたり、最後は、ウサギがタヌキを助けて、タヌキも改心するみたいな話になっていたりするように思います。 でも、私としては、元のグロくて、黒い話が好きなので(さすがに、婆汁はどうかと思いますが、そもそも人間がよくタヌキを捕まえてはタヌキ汁にしていたのが原因で、タヌキ側としては、一度、人間も汁にしてやろうというようなものでしょう)、女子にこの話をしたりします。
だいたい、ウサギって悪い。因幡の白ウサギでも、サメをだまして、「へへっ、だまされたー、私はここを渡りたかっただけだよ」とか言って、皮をはがされる。さらに、海の水につかるとよくなるよと言われ、ますます痛みに苦しむことになるだが、ここで学んでことをかちかち山で生かす、とんでもなく悪い奴だ、ウサギは寂しいと死んじゃうとか、かよわいいい子のふりしているけど本当は悪い動物です。これは、こどもに聞かせたい話だよね、とか言ったりします。
女子は、ウサギやネコの小動物にはとにかくかわいいと言わなければいけない生き物なので(人の赤ちゃんや小動物の写真や動画なども、見るなりかわいい、と言いますが、本当に見てる、反射的に言っているだけじゃない、本当にそう思っているのと、100回くらい問いただしたいです)、そんな話をすると何この人と思いっきり引かれます。でも、あとで、「100万回生きたねこ」とかをプレゼントすると、実はこの人こう人なんだ、と印象ががらりと変わる、というような手はもちろん使ったことはありません。

 

ほかにも突っ込みどころはいろいろある話です。タヌキは背中が焼けているのに、ぼーぼー山のほーほー鳥で納得するのか、君はおばさんをだまして殴り殺すほどの悪い奴のはずなのに、なぜ何度もだまされて、さらに、泥の船に乗るのか、とか。
これについては、太宰治の「お伽草紙」の中の「カチカチ山」が、その謎を明らかにしてくれています。太宰版カチカチ山によると、ウサギは16歳の美しい無垢な少女で、タヌキはそれに恋する愚かな中年男です。たしかに、そうであれば話はわかります。
哀れな中年男のタヌキは、好きな女の子のウサギに目がくらんで何度騙されてもついていってしまうのです。いや、すすんで騙されにいったのかもしれません。
太宰は、「女性にはすべて、この無慈悲な兎が一匹住んでいるし、男性にはあの善良な狸がいつもおぼれかかってあがいている。」と書いています。まあ、君に言われたくないけどねという気もしますが。

 

さて、今回は、なんの話かよくわからないものになってしまいましたが、Y tuber・月ノ美兎さんの動画は、単に「かちかち山」の変遷について詳しく述べられているというだけでは なく、興味をもったことにどうやって取り組んでいくのかを実際にたどっていくおもしろさがあります。こういうことこそが勉強だと思いますし、実際に、自分で実物にあたる大切さや勉強すること楽しさというものを伝えてくれる動画です。是非、ご覧になってください。

 

「カチカチ山」とかいう和製サウスパーク、いつからヌルくなったのか (youtube.com)

 

 

 


-今月の一曲-


調べてみたら、かちかち山の歌は、滝廉太郎さんの作曲でした。作詞は、東クメさんという方で、ぼーぼーいうのはぼーぼー山だから、ということになっています。事実、そういう話が多いようです。私は、上にも書いたように、「ぼーぼー山のぼーぼー鳥」と習った(習ったわけでもないか)ので、妻に聞いてみたのですが、妻も「ぼーぼー山のぼーぼー鳥」と言っていました。生まれ育ったところは全然違うのですが、それは同じだったので、私たち世代は、ぼーぼー山のぼーぼー鳥なのかもしれません。

 

かちかち山 (youtube.com)

 

この動画の中のウサギもすごく悪そうな顔をしています。

 

まあでも、まじめな医師として生きている私としては、今回の話の教訓は。「人にはやさしくした方がいい」ですね。
というわけで、今月の一曲は、THE BLUE HEARTS「人にやさしく」

 

期待外れのことを言っているときも、心の中では、がんばれと言ってるんです。

 

【歌詞付き】人にやさしく | THE BLUE HEARTS (youtube.com)

 

著者 たかの発達リハビリクリニック 
院長 高野 真

小児神経科・リハビリテーション科・児童精神科
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