「障害」という言葉について、「障碍」や「障がい」と書かれているのを見かけたことがあると思います。
「害」という字は、「害虫」や「害毒」の「害」であり、イメージはよくありません。障害や障害者を、いわゆる「害」と扱っているのではないか、「障害」は差別的表記であり、「障碍」や「障がい」と記載すべきという意見があります。
「碍」という字は、「かべ、さまたげ」の意味で、「害」とは異なった文字で、日本語の「障害」は、中国語では「障碍」です。「障害」が用いられているのは、漢字文化圏の中で日本だけと言われています。
日本で「障害」が使われていることについては、「碍」という字が当用漢字からはずれてしまったため、「障碍」が「障害」になったと思っている方もいますが、そうではありません。「障害」は江戸時代には用いられていました。
「障碍」は、もともと仏教語で、「ものごとの発生、持続にあたってさまたげになること」を意味するようですが、我が国では、平安時代末期以降「悪魔、怨霊などが邪魔すること、さわり」という意味で用いられるようになったそうです。
明治時代に、「障碍」が「しょうげ」と「しょうがい」の2通りの読み方があることもあって、仏教用語としての「しょうげ」が残り、「しょうがい」は「障害」に統一されたようです。
一方、国や自治体などでは、「害」は差別的(?)なので、「碍」を用いる意見もあるが、当用漢字からはずれた「碍」の字を使うことができず、「障がい」という交ぜ書きが使われています。ただ、法律では、「法令用語改正例」において、「障害」に統一するとされており、「障害」と記載されています。
これとは別にというか、同じような流れなのですが、病名・診断名に用いられる「障害」という言葉そのものがよくないとう考えがあります。当事者、患者からの不快感も強いと言われていますが、本当にそうなのかは私はよく知りません。これまで、疾患名に関して、英語のdisorderの翻訳として、「障害」が用いられていたのですが、これに変わって「症」をあてようということになってきています。
「発達障害」は「神経発達症」、「自閉症スペクトラム障害」は「自閉スペクトラム症」、「注意欠陥多動性障害」は注意欠如・多動症」「学習障害」は「選択的学習症」と呼ばれるようになってきました。
これらの問題は、漢字やかなの使用方法から、漢字や言葉のもつ社会的意味とは何か、差別用語とは何か、差別とは何か、疾患名、診断名の妥当性などなど、私の能力を超えた大変大きな問題です。ここで簡単に論じられるような問題ではないのですが、少しだけ私の思うところも書いておきます。
漢字や言葉の持っているネガティブなイメージや差別的なイメージというのはあると思います。
語源的に明らかに差別的な漢字や言葉もあると思います。それでも、それは、その漢字や言葉が社会のもつ差別的な意識やイメージを背負わされているだけで、問題なのはそういう意識や社会通念の方です。漢字を変えても、何も変わらないと思いますし、例えば、それをひらがなにするのは、そういう意識をまるで隠蔽しているかのような印象ももってしまいます。
そういう意味で、これまで使われて、社会にも浸透した「障害」や「発達障害」という言葉を引き受けて使っていこうと思っています。
今のところ、私は、本人や保護者の方に説明するときも、「発達障害」という言葉を使っていますし、このホームページの中でも、「発達障害」という言葉を使っております。ただし、医学的な診断名に関しては、統一された名称を用いる方がよいので、「自閉スペクトラム症」、「注意欠如・多動症」、「限局性学習症」を使っています。
ご意見がございましたら、また、お聞かせいただけると幸いです。
Creepy Nuts 「かつて天才だった俺たちへ」
Creepy Nuts / かつて天才だった俺たちへ【MV】 - YouTube
Hump back 「番狂わせ」
Hump Back - 「番狂わせ」Music Video - YouTube
RADWINPS 「正解」
RADWIMPS - 正解 [Official Live Video from "ANTI ANTI GENERATION TOUR 2019"] - YouTube
3曲とも公式MVがアップされています。どれも素晴らしい曲で、発達障害含め、何らかの思いを抱える私たちの心に強く刺さります。
南極の丘のすみれが食べたくて キリンの首は明日も長く
著者 たかの発達リハビリクリニック
院長 高野 真
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