「みにくいアヒルの子」はみなさんもよくご存知のアンデルセン童話だと思います。 最近は、発達障害とのからみで語られることも多いので、改めて読み返してみました。
アヒルの群の中で、一羽だけ灰色で他のアヒルの子と違うひなが生まれました。
みんなと違う外見のひな鳥は、みにくいアヒルの子と周りのアヒルからのけ者にされ、つらく当たられます。
そんな毎日に耐えられず、ついに群れから逃げ出します。でも、他のアヒルの群れに入っても同じような目にあい、つまはじきにされ、みにくいアヒルの子は一人ぼっちで一冬を過ごします。疲れ切ったみにくいアヒルの子は、ある日、白鳥たちの住む池をみつけ、一層のこと殺してもらおうと、その池に入っていきました。しかし、白鳥たちは何も気にかけるところがありません。
意外な反応に驚き水面を見ると、そこには、みにくいアヒルの子ではなく、美しい白鳥になった自分の姿が映っていました。
みにくいアヒルの子は実は美しい白鳥だったいうお話です。
殺してほしいと白鳥の群れに入っていくという話だったのかと少し驚きましたが、我々は、この話から何を学ぶべきでしょうか。
別に物語から教訓を読み取る必要はないのですが、上にも書いたように、発達障害ともからめて語られることがある話なので、この話の意味するところをちょっと考えてみたいと思います。
単純に考えると、生まれた境遇や環境に負けずに頑張れば、いつか報われるときがくる、負けずに努力しましょう、ということかなと思います。
ただ、これについては、じゃあ、アヒルは下で、白鳥が上なのか。アヒルは醜くて、白鳥は美しいなのか、そもそも醜いことは悪いことで、美しいことはいいことなのか、醜いとか美しいとかいう基準は何なのか、などという批判があります。さらには、みにくいアヒルの子が黒っぽい灰色だったため、黒は白の下なのか、白は美しくて、黒は醜いのか、黒人差別だという、さすがにこれはちょっと言いがかりじゃないかという話もでてきたりしていたようです。
この是非は一旦、置いておくとして、このお話が発達障害がらみで、どういう文脈で語られているのかを見てみます。
みにくいアヒルの子が生まれたのが、白鳥の中だったとしたら、当然のことながら、周りとの違いに悩むこともなかったし、いじめられることもなかったでしょう。そして、彼(彼女?)はそのまま美しい白鳥になったはずです。
逆に、アヒルの子が白鳥の子の中にいたら、今度はおかしいのはアヒルの子の方で、みにくい白鳥の子とか言われたかもしれません。 つまり、「みんなと違う」ということで悩んだり、いじめられたりしたのは、絶対的なことではなく、周りとの関係で変わってくるものでしかないということです。 「普通」でいること、「普通」に育つことに基準はなく、白鳥には白鳥の、アヒルにはアヒルの育ち方や生き方がある。それぞれの個性にそった、それぞれの特性をいかした人生(鳥生?)を歩めばいいだけの話です。
今、「みんなと違う」ことで孤独を感じたり、「みんなと違う」ことで劣等感を持ったりする必要はないし、自分が輝ける世界は必ずあるということを知っておいてほしいです。誰もが美しい白鳥なのです。 というところでしょうか。
ちなみに、私は小さいときにこの話について、元々、白鳥の子が白鳥になるのは当たり前だろ、別におもしろくもなんともない話だと思っていました。でも、ひょっとしたら、この話は、頑張れば(?)アヒルの子も白鳥になれる、白鳥もアヒルになれるということか、そこが素晴らしい話なのかとも思っていました。
今思うところは、人を見かけや外見で差別をしたり、いじめたりすることは当然よくないことですし、なくなればいいと思います。しかしながら、それは今までなくなることはありませんでしたし、残念ながら、これからもなくなることはないと思います。では、どうすればいいのか。それと闘うことやなくすように努力することは立派なことですが、別にそうじゃなくてもいい。そこから離れて、そうじゃない世界に行けばいい。少なくとも自分を、「普通」とか「みんな」とかいう曖昧な意味のない基準で図る必要はないということです。 ただ、やっぱり、誰もが美しい白鳥になれるわけではないと思います。この羽の上げ方が美しい白鳥とか、ここの水かきが綺麗なアヒルとかになれればいいのかなと個人的には思います。
あと、みにくいアヒルの子が美しい白鳥になる、というのがルッキズムやその他差別的でよくないということであれば、みにくいアヒルの子は、みんなと色も違って見分けやすかったのですから、タイトルは、「みやすいアヒルの子」としてはどうでしょうか。
一方、最後は、普通の白鳥になってしまい、周りとは見分けがつきにくくなったので、見やすいアヒルの子が見にくい白鳥になったというお話でどうでしょうか。いい話ですよね。
https://www.youtube.com/watch?v=t7MBzMP4OzY
著者 たかの発達リハビリクリニック
院長 高野 真
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