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「不登校について考える」第2回 「みんな違ってみんないい」か? ・みんな違ってみんないい-垂水区|たかの発達リハビリクリニック

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No.13

2024.6
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「不登校について考える」第2回
「みんな違ってみんないい」か?

前回に引き続いて、もう一度不登校についてです。
前回の最後の方に書きましたが、不登校の原因とその対応については、本当にいろいろなことが書かれています。
不登校は「親のせい」ではありません。親の性格や育て方によって、不登校に「なる子・ならない子」が分かれることはありません。と書いてあるのですが、その次には、不登校になる子どもの親には、特徴や傾向があります。この傾向性が不登校・引きこもりの根本的な原因となっています。とあったりします。
それなら、最初から、不登校には、家庭や親の考え方に原因の一つがあります。とか書けばいいと思います。

 

発達障害とか不登校とか、私が毎日遭遇している問題に関して、私は人に専門家であるとえらそうに言えるようなものではありません。発達障害や児童思春期の精神科疾患については、少しは勉強しましたが、不登校については、ほとんど経験がありません。
そこで私自身も日々悩んで、それなりに書籍を読んだり、講演を聴いたり、ネットで情報を集めたりしているのですが、それらで述べられていることは、発達にしろ、不登校にしろ、共通する何らかの建前のようなものがあるように思えます。
これは言ってはいけない、こうしてはいけない、これはこうあるべき、というような前提にたって語られているのではないかということです。 人間は平等で、差別はいけない(もちろん、これは正しいことですが)、だからこうすべき、というような「べき論」です。
倫理的、差別的に問題があるようなことは、それを語ることすら避けるべきであるというようなことです。もちろん、倫理にもとることや差別はいけないことですが、科学的根拠や事実からは目をそらし、うわべだけの「べき論」になっているのではないでしょうか。

「人はみな同じ平等である」「差別はいけないことである」、そして、「発達障害は障害ではない」「不登校は親の教育や考え方には関係がない」等々と語られています。
それらは、もちろん、正しいことなのでしょう。そうなのですが、これを無条件に大前提として、何の検証もしないため、あとあと本音が出てきて、いろいろ矛盾してくるという印象が強いです。
そして、それは、個性はすばらしく、守られるべきものだということにつながります。
こういう「こうあるべき」という社会や考え方が、一番こどもの生き方を阻害するように思います。
人の醜いところや嫌なところ、悪いところを否定せずにしっかり目を向けるべき(えっ、ここでべき?)だと思います。

 

 

「みんな違ってみんないい」

その通りです。みんな違ってみんないいです。

 

鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。

 

美しいフレーズです。こう詠ったのは、金子みすゞだということはよく知られていますが、その、金子みすゞが26歳で自死したということはあまり知られていません。
もちろん、彼女が自ら死を選んだ理由はいろいろあったでしょうし、時代が時代だったのでしょう。でも、本来正しいことである「みんな違ってみんないい」ということを言いきることは、とてもつらく厳しいことだったのです。
個性を大切にすることはいいことですが、みんな違ってみんないいのは、大変なことなのです。
不登校について、医師やその方面の専門家が書いているものを読んでいると、私も不登校だった、私もADHDだった、私も学校や社会に不適合だった、というようなものをよく見かけます。当事者からの支援として参考になることは多いと思いますが、一方で、そんなこと言ってあなたたちは、医者や立派な人になっているんでしょ、なんだかなあ、とかいう気持ちにもなります。
最近は、そういう人たちの、学校や登校が善ではない、学校だけが世界ではない、という流れが強いように思うのですが(それは、多くの面で正しいでしょうが)、毎日ちゃんと学校に行っていた私としては、黙々と決められたレールの上をすすむ人も含めて、みんな違ってみんないい、ではないかと思います。
たしかに、今の社会が、挨拶がちゃんとできたり、うまいおしゃべりができたり、友達が多かったり、とりあえず明るい感じの人が、いい人、評価の高い人、上位に立つ人とされる傾向があるのには違和感があります。一方で、人付き合いが悪いようで、突然奇をてらった振る舞いをしたり、目立って人と違うことをしてみたりする人が個性がある人とされ、そういう個性を大切にしようというのも納得がいかない点もあります。別に、黙って目立たずその日のことをこなしていく人にもすばらしい個性があります。

 

不登校の前をぐるぐる回る全然まとまらない話で、一番問題の、実際の不登校にどう対応するのですか、という話に行きつきませんでした。具体的にどうなのかといことについては、また、考えてみたいと思います。

 


-今月の一曲-


声も顔も不器用なとこも
全部全部嫌いじゃないけど
でも、全部全部大嫌いだけど

 

ドライフラワーのように色あせたけど
でも、まだ枯れない花を君に


家も学校も仕事も家族も友達も、
僕たちはみんなアンビバレントな中に生きている。 。

 

優里『ドライフラワー』Official Music Video -ディレクターズカットver.- (youtube.com)

 

著者 たかの発達リハビリクリニック 
院長 高野 真

小児神経科・リハビリテーション科・児童精神科
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